がんで死なないためには、下記の2つをクリアすることができるかが鍵になります。

1. がん細胞の数を増やさないこと!
2. 正常細胞が充分にその機能を発揮できるように栄養と血流を確保すること

この2点が最も重要なのです。

臨床では、たまにこんなケースに遭遇することがあります。レントゲン写真で、がんの陰影がくっきりみられるけれども、何年たってもいっこうに陰影は大きくも小さくもなりません。何年たっても陰影の大きさに変化がないので、少なくとも、がん細胞の数はそれほど増えているとは考えられませんし、また体重にもあまり変化がみられないところをみると、血流障害もなく栄養もじゅうぶん正常組織を養うに足りていると思われます。つまり、先に述べた、がんで死なない2つの条件を満たしているのです。 したがってこういう患者さんは、確かにがん患者さんではあるけれども、死なないのです。もちろん、こういった患者さんに無理に抗がん剤を投与したりして、やみくもにがん細胞を退治することもないのです。

また、がんがあちこちに転移して一気に坂を転げ落ちていくように悪くなっていくのかと思う瞬間から、なぜか急激にがんが自然に退縮してしまうことも少なからず経験します。

これら幸運な患者さんに共通することがあります。それは、"治ると信じている"ことと"よく食べる"ことと、"リンパ球が多い"こと、そして"たばこを吸わない"ことです。つまり、前述の2つの条件を満たしているのでがんに打ち勝つことができたのでしょう。奇跡でもなんでもないのだと思います。また、他に共通することは、医者に一旦はさじを投げられた患者さんか、あるいは最初から医者に頼らず自分自身で治そうとしていらっしゃる患者さんなのです。

栄養を損ね、体力をいたずらに損ねてまで、無理やりがん細胞を根絶する必要性もなく、今以上にがん細胞の数が増えなければ別にかまわないのです。がん細胞の数が増えないように、そして正常な組織の機能が損なわれないように、しっかりと栄養を確保して、免疫能力・体力をじゅうぶんに強化しておくことが、がんで死なないためにはとても大切なことなのです。

ところが、今の西洋医学では、がん細胞の数を増やさないようにすること(1)は必要以上にやりすぎるのです。やり過ぎてしまうために、正常組織までにも多大なダメージを与えてしまうのです。また、栄養と血流を確保すること(2)に対しては特に必要なのに、ほとんど考慮されていないのが現状なのです。がんの治療成績に進歩があまりみられない1つの大きな原因は、正にこの、過剰な(1)、希薄な(2)にあるのではないかと考えています。