1. 西洋医学と補完代替医療
  2. EBMと補完代替医療
  3. オーダーメードな治療法が必要
  4. 補完代替療法の本質は栄養とスピリッツ

 

1.西洋医学と補完代替医療

栄養療法、中医学、その他の民間療法などのいわゆる補完代替療法には、熱狂的なファンも多くいらっしゃるのですが、一般的にはとてもうさんくさく見られる向きもあり、頭ごなしに否定する方も少なくありません。もちろん西洋医学の教育を受けたドクターの方がより拒否反応が強いようです。

しかし、これほど巷にさまざまな補完代替療法が流布しているのは、西洋医学が不完全な為ではないでしょうか。
もしも、西洋医学にも栄養学的な発想、そして自然治癒の発想がじゅうぶん兼ね備えられていたならば、おそらく補完代替医療の入り込む余地などなかったのです。

そうは言うものの、代替療法の中にも、とんでもなくうさんくさいものが多くあるのも事実です。
西洋医学が"栄養"と"心のあり方"を無視した治療法を踏襲してきた結果が、これほどまでに、うさんくさい補完代替療法が世に蔓延ることになってしまったのではないでしょうか。

「21世紀の医療・医学を考える会」の医師も西洋医学の教育を受けてきましたが、それでも全面的に補完代替療法を否定する気にはなれません。
実際になんらかの補完代替療法で治った患者さんを目の当たりにしています。
そしてなによりも、メカニズムはどうであれ、患者さんにとってみれば、どんな綺麗事よりも、治ればそれが正解なのです。

2.EBMと補完代替医療

西洋医学では、薬剤や治療方法に関して、 最近とみにEBM(evidence based medicine)、すなわち科学的根拠のある治療法であるかどうかがやかましく問われます。
特に、ある治療法が本当に効果があるものなのかそうではないのかを確かめるために、"無作為割付臨床試験"という手法が主流になっています。
患者さん(被験者)を2つのグループに分けて、片方のグループには効果を試そうとしている治療方法を施し、もう片方のグループには従来どおりの治療法を施行します。
そして、治療を施す医師も患者さんもどちらの治療グループに自分が属しているのかがわからないようにします。
このように、医師にも患者にも先入観、あるいはプラセボ(偽薬)効果が働かないようにして、果たしてどちらのグループの治療成績がよいのか比べてみるのです。

EBMはとても明快で合理的で、いかにも欧米人らしい発想だなと感心させられるのですが、大きな欠点も内蔵しているのです。
EBMの考え方はあくまで、試される患者さんの体が均質であるという前提でしか成り立たないということです。
要するに万人に合う治療法や特効薬を探すのが目的なのでしょうが、その発想自体少し無理があると思います。
なぜなら、人はそれぞれ体質も遺伝背景も異なっており、均質では無いからです。
人はそれぞれ違うのですから、違う治療法が本来あっていいと考える方が、とても自然ではないでしょうか。
それに、がんの現象は同じでも、原因そして元凶は各人それぞれ違うのですから、同じ方法で解決できると発想自体、とても無理な考え方だと思います。

3.オーダーメードな治療法が必要

西洋医学は既製服、すなわちEBMがとてもなじむ治療法だと考えています。
感染症や外傷などでは既製服で大丈夫でしょうが、がんなどの慢性疾患には少し無理があるのです。
すなわち、既製服だけではなくてオーダーメードな治療法こそが必要になってくるのです。このオーダーメードな治療法を担うのが、現実的には、栄養をはじめとする、さまざまな補完代替療法なのです。
がん患者さんには希望もとても大切ですが、選択肢も大切です。
お仕着せの既成服だけでは不充分なのです。全員が満足することはありません。
西洋医学だけで、がんをはじめとする慢性疾患を治すことに無理があるのです。
西洋医学の不完全さを踏まえれば、がん治療において補完代替療法も不可欠なものです。

ただ、氾濫する許しがたき悪徳業者は断固排除すべきです。
日本での規制が緩いのをよいことに、藁をもすがるがん患者さんの足元を見透かすように、暴利をむさぼる悪徳業者の良心はいかばかりかといつも思います。
弱者を相手に足元をみてしかも半ば恫喝的に、やたら法外に高価な健康食品あるいは健康器具を売りつける輩は、断じて許すべきではありません。
くれぐれも甘い誘いにはご用心ください。

4.補完代替療法の本質は栄養とスピリッツ

e-クリニックでは補完代替療法の本質そして使命は、"栄養"と"スピリッツ"だと考えています。 今の西洋医学に大きく欠けている、この2つの要素を補完することにとても意義があるのです。

我々がe-クリニックを始めた理由の1つは、従来の治療法だけではなくて、栄養とスピリッツの補完がとても大切だと思ったからなのです。
手術、抗がん剤、放射線治療も、技術そのものは大きく進歩をしているのは事実なのですが、その割にあまり治療成績は芳しくありません。

従来の西洋医学では、治療を行うにあたり、"栄養"と"心のあり方"をあまり考慮していないというのが紛れもない事実なのです。
手術や化学治療や放射線療法の達人はいても、人を診る達人がいないのです。

がん患者さんの実に50~60%以上の方がなんらかの、補完代替療法を行っているといわれています。
これは、患者さん自身も西洋医学だけではとても心もとないと思っている証拠だと思います。
そろそろ医療を提供する医師側ももう少し謙虚になって、西洋医学が必ずしも全面的に受け入れられている訳ではないという事実に目を向けるべきでしょう。

特筆すべきなのが、一般の人ががんになった場合よりも、医者ががんになった場合の方が,補完代替療法に頼る比率が高いというデータもあるのです。
データの信憑性は不確かなのですが、経験からもそれはとても納得できることであると思っています。
なぜならば、多くの医者たちも、西洋医学だけでがんの治療が完結するとは本音ではさらさら思ってはいないからなのです。