プロモーションというのは、じわじわとがんが成長していく過程を指すのですが、まだこの時期であれば、健診などでがんがすみやかに発見された場合、生活習慣などを根本的に改善して治療をするということで、じゅうぶんに根治も可能と言えるでしょう。
しかし、がんはある臨界点を越えてしまうと爆発的に成長が早くなってしまうのです。この時期をプログレッションと呼び、目に見えて体重が減り、一気に体が衰弱していく過程なのです。俗にいう手遅れという時期なのかもしれません。もうこうなればどうしようも無く、手の施しようがありません。がんに抵抗する体力もほとんど残されていませんので、それこそ坂を転げ落ちるように、一気に栄養障害に陥って死に向かってまっしぐらに突き進むということになってしまうのです。自らの自然治癒力がまったく枯渇してしまった状態なのでしょう。こうなるとよほどの努力をしなければ、完治は難しくなってしまいます。
プロモーションの最後の段階、おおよそ大きさにして直径2~3cmくらいの段階で、綱引きをしていた、がん細胞軍(反乱軍)と免疫細胞軍(防衛軍)との拮抗が一気に崩れてしまいます。さらに、この臨界点を超えてしまいますと(詳しいメカニズムは完全に解明されていませんが)、免疫細胞自体の働きそのものにも抑制がかかってしまい、よけいに崩壊のスピードを増していくのです。この拮抗がくずれる頃の患者さんの血液をよくみてみますと、たいていリンパ球がとても少なくなってきているのに気づきます。免疫細胞というのは、殆どがリンパ球ですから、これはたいへん由々しきことです。しかも反対に、ストレスがかかると活性酸素を放出する顆粒球という細胞がやたらと増えているのです。つまり、栄養障害にストレスが加わると一気にがんは進行していくのだと考えられます。
もちろん、がんにはならないに越したことはありませんが、せめてプログレッションに突入する前になんとか対処しなければいけないのです。