がん治療における、医者への不信や不満はもっともなものがあります。しかし、あまり腹をたてても仕方がありません。そんなものだと割り切る方が賢明かもしれません。そもそも、がん治療の最大の間違いは、治療にあたる医者自身が、がんは治らない病気だと思いこんでいるところにあります。もちろん超早期のがんに関しては治ると考えているでしょうが、少し進んだがんに対しては、いろいろと治療はするものの、治らない、あるいは極めて治癒が難しい病気だと根本的には思っているのです。そんなことは、口が裂けても患者さんには言わないでしょうが、言葉のはしばしに見え隠れしているはずです。それでなくても不安な気持ちがいっぱいの患者さんに、否定的な気持ちでいっぱいの医者が接しているわけですから、治るはずのがんも治らなくなってしまうのも当然かもしれません。がんは難しい病気だ、がんの根治は難しい、そんなマイナスなイメージを払拭するどころか、逆に思いきり植え付けている張本人が、今の医療、医師なのです。
繰り返しますが、治らないかもしれないと思っている患者さんに、治らないと確信している医者が治療にあたるわけですから、それこそ、がんが治るはずはありません。これこそが、がんは難しいというイメージを世間に定着させ、治癒をはばんでいる根本原因のひとつだと私達は考えています。
大部分の医者はがんに対しては素人なのです。がんの専門医など、日本にはほとんどいないのですから、医者にあまり大きな期待をよせない方がよいのかもしれません。
今、日本に医者は25万人余りいます。ほとんどの医者は患者さんのため、寝食も忘れて、日々真剣に医業に励んでいるに違いありませんが、がんの正体をとらえ、それを踏まえて治療に当たっている医者は100人にも満たないのではないでしょうか。したがって、確率から考えるに、それほど数少ない、たった100人足らずの医者に出会うこと自体が、きわめて稀なことだと思います。悩む必要はさらさらありません。過度に期待するから悩むのです。医者は活用するだけにとどめておくのが賢明です。また、医者の言葉に一喜一憂する必要もありません。医者からサジを投げられたとしても、それだけで悲観する必要もありません
医者たちのなにげない言葉を真に受け、大きく心を傷つけられた患者さんをたくさん見受けますが、中には自殺をされる場合さえあります。それほど医者の一言一言は影響が大きいのですが、そのことをあまり斟酌していない医者が多いことも事実です。医者は医者で、先輩から教えられたことをマニュアルどおりに、まじめに患者さんに話しているのでしょうが、そのマニュアル自体が、 "がん"に対してではなくて、現象であるがんに対してのものにすぎないのです。もちろん、医者は患者さんに話す一言一言に充分に配慮すべきは、当然のことながら、ことがんに関しては、あまり医者の否定的な言葉をまともに受け取らなくてもいいかと思います。間違った治療のために早く、そして苦しみながら亡くなる患者さんばかりを見ている医者達の経験がマニュアルになっているのですから、当然、話も否定的になってしまうでしょうし、余命の予測もかなり短めに言うことになってしまいます。医者の言う、"あと何ヶ月"という言葉には、あまり意味がないと思っていただくと適当かもしれません。 "医者ごときに、寿命を決められてたまるもんか"と思うくらでちょうどいいかと思いますし、そう思った患者さんは、なべて医者の予想を大きくはずれて長生きをされているというのも現実だからです。