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中途半端な「かかりつけ医」と「専門医」


・・・中途半端にも満たない私ごときが偉そうに言うなとおこられそうですが・・・あえて一言。

体調に不安を感じたとき、ちょっと気になることを相談したいとき、気さくに親身に的確に応じてくれるなじみの医者家庭医、ファミドク)がそばにいてくれればとても心強いものです。

病院待合しかし実際にはそんな気の利いた医者(国民が強く望んでいるにもかかわらず)がいないので、多くの国民は仕方なくついつい大きな病院を受診してしまい、長時間待たされてよけいに体調を崩してしまったなどという話もよく耳にします。あるいはなじみの医者にいったけれど、専門外なんでよくわからないと大病院にまわされ、結局は二度手間に・・・。

きっとそんな苦情が殺到しているはずです・・・、ですから国もようやく重い腰をあげ、とりあえずなんでも診ることのできる「総合医」(いわゆるかかりつけ医)を全国に配備し、そこを一次対応の窓口とする。およそ8〜9割はその総合医で対応が可能と見込み、より専門性を要する患者さんだけをしかるべく専門医(大病院)に紹介するという構想を組み立てているようです。

その構想には私自身も大賛成です。今の医療はとにかく無駄が多すぎます。そして効率も非常に悪い。せっかくの人材・資材がもったいないかぎりです。

近くに窓口となる医者がいて、肝心なことはそこでまず「命にかかわるのかそうでないのか」を的確に仕分けする。命にかかわらず対処できるものはそこで対処する。「命にかかわるかもしれない」と判断される場合はスムーズに専門医に送る。

そうなると、「総合医」にはそれなりの技量が担保されなくてはいけません。少なくとも命にかかわるかどうかを見極める力量は必須条件となります。単に今の開業医をスライドした形では、きっとふじゅうぶんだと思います(医師会は今の開業医でじゅうぶんだとして「総合医」制度の創設には反対しているけれど・・・)。相当なトレーニング期間と資格試験は不可欠になります。また第3者機関によるチェックシステムも必要でしょう。

また、一方の専門医もそれなりの専門性を担保するためには、専門医や専門病院を集約し(数を限定する)、より集中して治療できる体制を構築する必要があります。


では現状はどうでしょうか? もちろん「総合医」はほとんどいない状況です。今の開業医のほとんどは専門医ですから、なんでも診ることのできる医者はほとんどいないのが現状です。いっぽうの専門医も、名ばかりな専門医ほとんどで、本当に専門医と呼べるのはごくわずかだと思います。

ちなみに心臓外科専門医を日本とドイツで比べてみるとよくわかります。たとえば心臓外科専門医1人が1年間に行う平均の手術件数ですが、日本は約30件ドイツは300件です。件数の差もさることながら、日本の場合は絶対件数も少なすぎると私には思えてなりません。

そもそも医療は誰のためのものでしょうか。医療者のためでしょうか。そうではないはずです。国民のためのはずです。そのために多額の税金を投じて医師や医療システムを整備しているわけです。医療は単なるサービス業ではなく、インフラの1つ、大事な社会的共通資本の1つなのです。 

日本の医療がなかなか変わらないのには理由があります。
変える力のある偉い人たちが、国民の意を無視し続けているからです。しかし今回は今までと違い、国も(おそらく)国民の意を受けて重い腰をあげたのでしょうから(そこは大いにかいます!)、反対勢力に屈せず、このすばらしい構想を断行してほしいものです。

変えたくても変える力のない者のせめてものつぶやきです。
 

岡本 裕


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